2015年01月03日
歌手May J.さんから高音を奪った「声帯浮腫」とは?

歌手のMay J.さんが、喉の不調から満足いく歌唱が出来ず、泣きながらファンに謝罪をした事が話題になっています。13日丸ビルで行われたクリスマスツリー点灯式に出席したMay J.さんは、「Let It Go~ありのままで~」を歌いましたが、声はかすれ、彼女の持ち味である高音が全く出なかったとのこと。
May J.さんの病名は、「急性上気道炎および急性気管支炎に伴う声帯浮腫」とのことですが、一体彼女の喉に何が起こったのでしょうか?
「声帯浮腫」どうして声がでなくなるの?
声帯浮腫とは、のどの奥にある左右2枚の膜状の粘膜である声帯が水膨れになっている状態になることです。
声は、この声帯が中央部分で閉じて、そこを息がとおるときにこすれて生じた振動が、のどや鼻周囲の空洞で共鳴して生まれます。声帯に障害があると、ピッタリと声帯が閉じない為、隙間から息が漏れ、声が出なくなったり、かすれたりします。
声帯浮腫の原因は?
色々なケースはあるようですが、May J.さんの場合は、診断にあるように急性上気道炎および気管支炎が声帯浮腫の原因です。
急性上気道炎とは、いわゆる“かぜ”のことです。最もよく見られる呼吸器疾患で、原因の多くはウイルスです。気管支炎は、気管支に起きた炎症のことで、今回のように急性気管支炎の場合は、ライノウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルス感染や、マイコプラズマや百日咳菌など、ウイルス以外の病原体により引きおこされます。May J.さんのケースは、かぜをこじらせて気管支に炎症が起き声帯浮腫を併発したと考えられます。
「声帯浮腫」の診断・検査・治療は?
口もしくは鼻からファイバーを挿入し、実際に喉の奥の声帯の状態を詳しく観察し、診断します。声の出方には、鼻や鼻周囲の空洞(副鼻腔)の状態が大きな影響を与えるため、必要があれば、鼻や副鼻腔のレントゲン写真を撮る事もあります。
治療方法としては、まずは原因である“かぜ”を直す事ですが、インフルエンザウイルス以外の“かぜ”のウイルスには有効な薬がなく免疫の力によって治癒していきます。よって、まずは安静と休養を取ることが重要です。声帯浮腫に対する局所療法としては、のどの炎症を抑える内服薬および吸入薬を同時に行うことにより、症状は改善します。また、症状を更に早く改善させたい場合は、点滴治療を合わせて行います。
「声帯浮腫」はどんな人がなりやすい?
今回のMay J.のケースをはじめ、2013年にはシンガー・ソングライターのaikoさんも「声帯浮腫」で入院治療を行いました。やはり日常的に声を良く使う歌手の方や、教師や保育士さんといった職業的によく大きな声を使う人もなりやすいといわれています。
声帯の状態によっては、手術や薬という治療方法だけでなく、声の安静が必要な場合もあります。
May J.さんは、このイベントの前週から体調が悪く、声が出なくなり、レコーディングもキャンセルするような状態でしたが、注射を打って出演したとのことです。
結果としては、高音の部分は声がでずに辛いステージとなりましたが、「口ぱく」を使わず、自らの声で歌う選択をしたMay J.さんに賞賛の声が寄せられています。
Posted by yokata at 13:28│Comments(0)
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